それでも日本の内需は大きくならない

2020年4月18日

アメリカ発の世界規模の金融危機によって、米株式市場の時価総額がNYSEとNASDAQ上場企業の時価総額がピークとなった07年11月(約21兆ドル)からわずか一年余りで11兆ドルを下回る水準まで落ち込んじゃうという状況を生んでいます。

換言すると
一年ちょっとで日本のGDP(国内総生産)の2倍弱に相当する資産価値が米株式市場から蒸発することになりました。

アメリカは日本と違い、個人資産を株と不動産で運用してる人が多いので逆資産効果による消費の冷え込みは、物理的に日本とは比較にならない規模であることが想像できます。

しかしながら、08年12月期の米主要銘柄の決算業績を見ていると、株価の落ち方に比べて、主要各社の業績の落ち込みは押し並べて、そんなにひどく落ち込んではいないようです。

むしろ実体経済の指標であるGDPの落ち込みは日本のほうがはるかに酷かったわけです。世界(G7)最悪水準のGDP年率換算12.7%ダウン。(アメリカは同じく年率換算で6.2%ダウン)


なんで、そんなことになっちゃったのか???

その答は、識者、学者、マスコミ口を揃えて十中八、九が「外需依存のツケが回ったのだ」ということなんですよ。

実際、10-12月期の日本の減った実質GDPの外需寄与度は90%ってことでして。韓国・台湾同様、成長を輸出に頼っていたのだ、と。

もともと日本が02-08年で増やしたGDP(10.4%拡大)のうち外需寄与度はうちの5%弱(要するにクルマ含む機械系の輸出産業)だったということなんです。

曰く グローバル経済からの逆襲を受けた格好になったんだ、と。まぁ間違ってはいない。

で、加藤がね、
だからといってそうではないでしょう、と異論を主張しているのは、そこから先、
即ち
「日本は外需依存を脱し、内需を喚起する施策が必要だ」という論調です。

たしかに
日本は業態変更する必要 はあります。

でも、そのためにも加藤は、日本企業はむしろ今まで以上に国の外に果敢に(輸出ではなく現地進出で)直接出て行き、ローカルに深く根ざし外貨を獲得すべきだと考えているのです。

しかしながら
例えば内需喚起施策として今回の09年度の景気対策予算(2度の補正と来年度予算計)真水で12兆円のなかには、高速料金引き下げで5000億円が盛り込まれています。

これ思いついたときよりガソリンが急落しコスト状況が激変しているのに、いまさら何故こんなことを実施するんでしょう。この施策はむしろ公共交通機関とのトータルコスト差縮小(或いは逆転)や世界的なエコの趨勢に反しており、更なるフェリー業界問題などを産んだとしか思えないです。

そもそも今ぜーんぜんクルマが売れていないのは、ガソリンや高速道路代が高いからではないでしょう。

他の国はさておき、日本で売れていないのは、金融危機以前に人口構成の変化が市場を直撃していることがとても大きいんですよ。
事実、国内のクルマ販売高は一昨年の段階で既にピーク時から4割程度も下がっているんです。(こんなのやっても売れるのは車載GPSくらいだよ・・)

なぜ日本の製造メーカーが危機以前のここ10年で、外需依存だ!と批判されるほど、国外の消費に眼を向けていたのでしょう。

加藤は少子高齢化の影響で、全世代にわたって消費離れ(内需の急速な減少)の傾向が見られているからだと思ってます。

だってマクロで見ると少子高齢や低い生産性でこれ以上どう刺激したって、日本の内需はたいして大きくならないんですもの。

クニが刺激して遣わせたい1500兆円の個人資産の70%は、60歳以上の世代が持っているのです。旺盛な消費とは元来若者のもの。高齢者は元よりモノは買わないのです。

日本の平均年齢は44.1歳。いまや相続する側も平均年齢は67歳なんですよ。

どーぅしても1500兆円やタンス預金を遣わせたいのであれば、国民に12000円ばら撒くとかじゃなくて、持ってる高齢者の将来の不安を減らせばいい

消費税をどかーんと増やして、それを高齢者の社会保障(医療・介護・福祉)を無料にする とかしてみればいいんじゃないのかしらん。

まぁだから加藤は
日本企業は内需(官需じゃなくて民需ね)が伸びるアジア市場に直接進出して成長を目指す べきだと思っているわけです。